コラム

駅の案内サイン

不特定多数のお客さまがご利用される駅。JR東日本という鉄道会社のCIやサービスの考え方に沿いながら、デザインという視点で駅の利便性を高めるという役割は、他の設計事務所にはないJRE設計のユニークな一面である。なかでも、お客さまが必要とされる情報を的確に提供する設備である「案内サイン」に関する最近の取り組みについてとりあげてみたい。

はじめに

JRE設計は、建築設計だけではなく、お客さまに安心してスムーズに駅をご利用いただけるよう、案内サインの整備にも携わっています。当社がサイン整備に関わって約15年になりますが、近年は少子高齢化や海外からのお客さまの増加に伴うユニバーサルデザインへのニーズの高まりのほか、駅自体が多機能化したことなどにより、案内サインに求められるニーズも変化しています。 このような背景の中で改良を行なってきた最近の案内サインの事例をいくつかご紹介します。

お客さまの動線を考慮したデザイン:東京駅

東京の表玄関とも言うべき大ターミナルである東京駅は、JR東日本だけで1日の平均乗車人員が約38万人(2010年度。以下同じ)にのぼります。新幹線や成田エクスプレス、京葉線など、旅行や観光で利用されるお客さまの多いこの駅では、初めて駅をご利用されるお客さまが迷うことなく行動できるよう、案内サインを設計しました。

@誘導サイン:点在していたサインを集約するとともに、文字を大きくし、トイレまでの距離を表記するなどの工夫を行い、お客さまが必要な時に目的地の方向を把握できるようにした。

A拠点案内サイン:コンコースのお客さまが、駅の施設や乗換えに関する情報を得られるよう、動線上の結節地点に、駅構内図、出口案内、のりば案内、路線図などを集約した拠点案内サインを配置した。

Bゲートサイン:ホームに続く階段に番線数字を大きく表示したゲート状のサインを設置し、階段の視認性を高めるとともに、停車駅や所要時間などこれから乗車されるお客さまが必要とする情報を集約した。

これらのサインは、駅の規模や特徴にあわせて、他の駅にも水平展開しています。

@誘導サイン
改修前 改修後

A拠点案内サイン
改修前 改修後

Bゲートサイン
改修前 改修後
情報を集約したデザイン:武蔵小杉駅

武蔵小杉駅は1日の平均乗車人員が約10万人の近郊駅で、南武線、横須賀線及び湘南新宿ラインが乗り入れており、東急線との乗換駅でもあります。 お客さまの乗車・降車動線を意識し、従来はホーム上に点在していた案内情報を一箇所に集約し、「情報のランドマーク」をデザインコンセプトとして設計しました。 南武線の他の駅でも、ホーム上の「情報をまとめる」という考え方で整備を進めています。

改修前
改修後
商環境と調和したデザイン:上野駅

「エキナカ」という言葉がすっかり定着したように、駅は列車に乗降するだけでなく、衣・食・遊などさまざまな機能を持つ場となりました。上野駅においても、従来の商業施設が高感度なエキナカ「エキュート上野」へリニューアルされました。このようなコンコースにおいては、商環境と違和感なく、かつ鉄道をご利用されるお客さまに分かりやすい案内サインである必要があります。今回のリニューアルにおいては、案内サインの視認性を高めるために、既存サインの配置を全て見直し、必要な場所に必要な情報をまとめて表示するよう計画し、東京駅の手法を用いながら、商環境デザインとの調和を図りました。

改修前 改修後
 
改修前 改修後
 
改修前 改修後
壁面を活用したデザイン:登戸駅

南武線登戸駅は1日の平均乗車人員が約7.5万人で、小田急線との乗換駅です。この駅では、トイレの位置や番線、行先案内がわかりづらいというご意見がありました。そこで壁面全体を案内サインとしてデザインすることにより、どの位置からでも認識でき、かつ親しみを持っていただけるようにしました。

改修前 改修後

終わりに

JRE設計では、吊下げや壁面に設置する案内サインのほかにも、床誘導サイン、運賃表、時刻表、音声案内など、駅をご利用されるお客さまにとって必要な各種ご案内の整備に携わっています。今後もお客さま視点を忘れず、「わかりやすく快適で便利」な駅の実現を目指し、JR東日本とともに取り組んでいきます。

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