仙台駅東西自由通路・仙台駅東口開発

JR仙台駅は一日の乗車人員約9万人(2019年度)を誇る東北地方最大の拠点駅である。七夕まつりなどが開催される街の中心部は駅の西側にあり、駅東側は若干寂しい印象があったが、近年は区画整理事業の進展やプロ野球球団の進出などによりめざましい発展を遂げ、駅から東側への流動も増加している。
そうした背景を踏まえ、東西自由通路拡幅を皮切りに、駅東側の活性化や駅へのアクセス向上につながる開発が順次進められた。

仙台駅東西自由通路は、これまでの幅員6mを16mに拡幅するとともに高さを16m、3層吹抜けとし、宮城野萩をモチーフとしたセラミックプリントを施した大屋根から光が降り注ぐ開放的な大空間とした。通路中央部には仙台市の木であるケヤキをシンボルツリーとして配置。イベント開催に対応したスペースや設備を備えるなど、東西の街をつなぐだけではなく、仙台の新たな顔となることを目指した。
自由通路を挟んだ南北には商業施設「エスパル仙台東館」を新設。南北をつなぐ5本のブリッジを設け立体的な動線を作ることにより回遊性を高めている。
あわせて、自由通路に面した東口改札の新設や、自由通路から新幹線改札への連絡通路の整備を行い、東側の街から駅へのアクセスを向上させた。

東西自由通路完成の翌年にホテルメトロポリタン仙台イーストが開業した。282室9タイプの客室は全室バス・トイレが独立。仙台という一都市のみならず東北六県の心地よさと温かさを感じられるホテルを目指し、東北各地の観光情報や伝統工芸品に触れられる宿泊者専用ラウンジも設けている。3階のレストランは、天井高8mの開放的なエリアや個室、屋外テラス席など多彩な空間を持ち、宿泊者以外のさまざまな利用シーンにも対応できる。
低層階にはエスパル仙台東館の一部としてデイリーユーズの店舗を配したほか、2階の自由通路と地平を結ぶ動線を新設し、駅東口エリアから駅を利用される方のさらなる利便性向上も図っている。

ホテルの北に隣接して、JR東日本グループでは首都圏以外で初のオフィスビルとなるJR仙台イーストゲートビルが建つ。吹抜けのエントランスホール「ダテリウム」は、オフィスワーカーが自由に使えるスペースを設けたほか、イベントなどに活用できる地域交流の空間でもある。天井には宮城県産のケヤキを加工した材料を使用しオープンサッシを設けた解放感のある空間とした。
東西自由通路からホテル建物を経由して2階エントランスにアクセスすることができ、駅と街をつなぐ回遊性がさらに向上した。外装は断熱効果の高いLow-e 複層ガラスを使用。低層部の庇をホテルと連続させることにより、東側の街に向けて統一感のある「顔」を形成している。
制震性能を高めるブレーキダンパーを採用するとともに、本線と予備電源2回線受電方式の採用、72時間の断水・停電対応など、BCP性能も備えた高規格なオフィスビルである。

仙台駅東西自由通路・エスパル仙台東館

  • 建築主:仙台市、東日本旅客鉄道、仙台ターミナルビル
  • 所在地:宮城県仙台市青葉区
  • 階数:地下1階 地上6階
  • 延べ面積:39,665m²
  • 構造:S造、RC造(斜路棟)
  • 竣工年:2016年

ホテルメトロポリタン仙台イースト

  • 建築主:東日本旅客鉄道、仙台ターミナルビル
  • 所在地:宮城県仙台市青葉区
  • 階数:地下1階 地上14階 塔屋1階
  • 延べ面積:16,782m²
  • 構造:S造一部SRC造
  • 竣工年:2017年
 

JR仙台イーストゲートビル

  • 建築主:東日本旅客鉄道
  • 所在地:宮城県仙台市宮城野区
  • 階数:地下1階 地上13階
  • 延べ面積:25,682m²
  • 構造:S造一部CFT・SRC造
  • 竣工年:2021年