
渡波駅
- 建築主:東日本旅客鉄道
- 所在地:宮城県石巻市
- 階数:地上1階
- 延べ面積:63.98m²
- 構造:RC造
- 竣工:2023年3月
80年を超える歴史ある駅舎の建て替え
JR石巻線の渡波駅が2023年3月24日に使用開始となった。旧駅舎は1939年に開業した80年を超える歴史ある駅舎であったが、今後も安心して利用できるよう建て替えが必要なことと、無人駅への営業形態変更で縮小された機能に駅舎を最適化するため、新駅舎として生まれ変わることになった。駅舎のデザインは、JR東日本仙台建築設備技術センター内の社内コンペを経て決定され、コンペ決定案を、施工可能なデザインとして忠実に再現した。
サン・ファン・バウティスタ号の見張台をモチーフに
牡鹿半島から出航したとされる慶長遣欧使節船「サン・ファン・バウティスタ号」の見張台の形状がデザインコンセプトとなっている。外観は、見張台をモチーフとしながらも、耐久性の確保を優先して、陸屋根かつ半円形状とし、鉄筋コンクリート造を採用。待合室は、十分な採光を取り入れ、かつ駅前広場を眺めることができるよう、南側へ配置し大きく開口を設けた。開口部ができるだけ曲線を描き、半円形がポイントとなる駅舎のデザインイメージを阻害しないよう、ガラスの大きさやサッシの細さなどの検討を行った。
駅名標も、サン・ファン・バウティスタ号が浮かぶ「海の波」を連想させる形状とし、夜もまちに優しく灯る、内照式サインとしている。