PROJECT STORIES

ルミネ

時代の先をゆく価値を提供すべく
絶えず進化を続ける商業施設。

首都圏の主要なターミナル駅に賑わいを生み出している商業施設「ルミネ」。1976年に1号店となる新宿ルミネがオープンしてから現在までに国内13の駅ビルに展開しており、さらにニュウマンなどの新ブランドも続々と立ち上がっている。ルミネのコンセプトは「ライフバリューの創造」。ショッピングという枠にとどまらず、お客さまの期待をさらに超えた新しい価値や感動を提供し続けること。そのためルミネは春・秋に定期的な改装を行なっており、全体で年に150〜200のショップが入れ替わるほか、改装に合わせて共有施設や通路などのデザインを変更することもある。これは、常に時代の先をゆくためにルミネを進化させ続けるためのプロジェクトだ。

PROJECT TEAM

写真左から松田、佐久間、吉田、小川

小川 宏HIROSHI OGAWA
商業設計本部 商業第1部門
2003年入社
新卒で入社後、ルミネ各館の改装や設備更新などを手掛ける。その後、事業会社への二度の出向を経て、現在はルミネ全館での新規開発案件やショップ改装における内装監理スタッフの管理業務など全体統括を担っている。
松田 丈治TAKEHARU MATSUDA
商業設計本部 商業第1部門
2013年入社
前職でオフィスビルの設計に携わっていたが、商業施設の持つ公共性に興味を持ったことからJRE設計に転職。ニュウマン新宿の新規開発案件やルミネ新宿、ルミネエスト新宿の改装・設備更新などを担当。
吉田 豊YUTAKA YOSHIDA
商業設計本部 商業第1部門
2010年入社
前職では商業施設や店舗の設計業務に従事していたが、JRグループにてより大きな規模で社会に貢献したいと考え転職。ルミネエスト新宿、ルミネ大宮、ルミネ池袋、ルミネ横浜などの改装案件や新規開発案件等を担当。
佐久間 結花YUKA SAKUMA
商業設計本部 商業第1部門
2014年入社
駅を中心に不特定多数の人々が利用する建物を設計することで街の流れや集いを作り出したいと思い、JRE設計に入社。ルミネエスト新宿やルミネ池袋等の改装工事における設計監理や新規開発案件の補助を担当。

※掲載内容は取材当時のものです

CHAPTER01

改装によって
ブランドの鮮度を保つ

入社以来、ルミネ立川を中心にショップ入れ替えの改装や設備更新を担当していた小川は、2015年にルミネエスト新宿へ半年間出向することになった。「それまでは仕事を受ける側でしたが、出向によって発注する側の視点に立てるようになりました。全体の流れを理解すれば『そろそろ動くタイミングだろうな』と予測できるようになり、事前に人員をアサインするなど準備期間を取れるようになったのです」(小川)。この経験をもとに、小川は次々とルミネの難しい改装案件を手掛けていく。「中でもずっと担当しているルミネ立川は、商業施設の激戦区ともいえる地域でトップクラスの売上を誇っており、食品フロアの売上が大きな比率を占めています。その食品フロアの改装は特に難易度が高く、仮設店舗を立てることでお客さま離れを防ぎながら1年ほどのスピードで完成させなければなりません。水回りやダクトなどが必要なテナントも多いため、フロアとして全体配分を意識しながら設計や内装監理をしていくのです」(小川)。食品フロアの改装は5〜8年の周期で行われるという。小川は、ルミネ立川の食品フロアについて鮮度を保つための改装をこれまでに何度も担当した。

CHAPTER02

商品や店舗を魅せるデザインを
追求する

吉田は入社した2010年にルミネエスト新宿6Fのフロア全体の改装を担当した。ルミネエスト新宿のターゲット層は10〜20代とルミネの中でも年齢層が一番低いのが特徴だ。「6Fフロアは文房具店や雑貨屋などジャンルの異なる店舗が占めていたことから、逆におもちゃ箱をひっくり返したようなデザインコンセプトを提案しました。これがルミネでの初仕事です」(吉田)。それからしばらく経って、今度はルミネ大宮の3Fジュエリーゾーンを担当する。「ルミネの中でジュエリーゾーンの開発は珍しい案件で、800平米ほどのスペースの中に15店舗を予定していました。それぞれの店舗の魅力を平等に最大限引き立てるためにはどのような空間が望ましいか、3Dモデルを使ってチームで何度も検証を行いました。各店舗のサインを掲示する柱を斜め45度にすることで視認性を高めるなど、デザイン的にすっきりとした空間の構成にたどり着くことができました」(吉田)。商業施設のあるべき姿を常に追い求め続けている吉田は、現在、ルミネの新規開発案件にも取り組んでいる。

CHAPTER03

建物と一緒に
設計者として成長する

2016年に新たなブランド「ニュウマン新宿」がオープンした。その意匠設計に携わったのが松田だ。「ニュウマン新宿では、商業施設フロアを始め文化施設、クリニックフロア、エキナカなどすべての用途の設計を一から担当しました。オープン後もニュウマン新宿のほか新宿にあるルミネ館すべての改装を任されています」(松田)。新宿にあるルミネエスト・ルミネ1・ルミネ2・ニュウマンは、それぞれ別のターゲット層を狙っている。「館によってそれぞれのポジショニングや個性が異なっています。環境デザインのスタンダードな潮流を取り込みつつ、それぞれの館の“らしさ”を表現するよう心がけています。新しい館をつくる時はゼロからの開発ですが、既存の商業施設はこれまで何十年と続いているものなので、現地状態を分析しながらどんなブラッシュアップが必要かを探らなければなりません。自ら設計した建物の空間・機能を改修し、設計者としての小さな知識や発見を積み重ね、自分も成長していく。さらに、その成長を次の新規開発や改修に活かし実践できる。建物と一緒に設計者として成長できるのは商業施設を新築から改修まで手掛けるJRE設計ならではだと思います」(松田)。新宿にある複数のルミネは、松田の手によって現在も改装を重ねながらお客さまに魅力を発信し続けている。

CHAPTER04

建物を良く知る
ハウスドクターとして

入社以来、駅の設計を担当していた佐久間は、商業第1部門に異動してとにかく驚いたという。「同じ設計会社なのにまるで転職したような気分でした。ルミネエスト新宿の改装・設備更新を担当したのですが、設備の独特な配置など建物の癖がとても強く、それまで歩んできた軌跡を知らないと法律の縛りや支障物に気付けないことが多いのです」(佐久間)。ルミネエスト新宿が展開する建物は、昭和の高度成長期に建てられたもの。現存する設計図もすべてが手書きで、度重なるコピーにより潰れた文字もあるほどだ。「過去の改装履歴や写真を順に追いかけながら、現在までにどのように変化しているのかを読み取りつつ仮設を立てて設計し、お客さまに満足していただけるデザインに新しく更新していきます。医師に例えるなら、私たちは建物のかかりつけ医=ハウスドクターのような存在と言えます」(佐久間)。佐久間は、最近ではルミネ池袋のベビー休憩室やトイレのデザイン、エントランス周りなどの設計監理などを担当。北欧風のデザインによって、ルミネらしい温かく包まれるような空間を醸し出している。

CHAPTER05

建物に宿る命を生かしながら
改装する

小川は、2018年に再び事業会社へ2年半出向。今回はルミネの新規開発案件の立ち上げに携わり、コンセプトづくりや予算計画などに取り組んだ。そして、出向期間が終わってからはJRE設計でその案件を請け負う形で担当している。また、その業務と並行してルミネ全館におけるコンストラクションマネジメントやショップ改装における内装監理スタッフの管理業務を行うなど全体統括を任されている。二度にわたるディベロッパーへの出向経験から、小川は設計者目線だけではなく作ってから管理する視点などファシリティマネジメント能力を身につけたという。「ルミネで求められるものはクオリティです。デザインだけではなく、ショップのセレクトや接客スキルなどもその一つですが、これからはリアル店舗とEC店舗を融合していくことなども考えていかなければなりません。すでにルミネの各館でインスタスポットを設けていますが、自社の服を着た店舗のスタッフが閉店後にインスタライブをしており、実際にそれを見た消費者の方が服を買いに訪れています。このように時代の動きやトレンドを常に追いかけていくなど柔軟な発想が改装には不可欠です。また、建物を新築する時はまだ命が入っていませんが、私たちの仕事はすでにある命を生かしながら改装する。それこそがこの仕事の醍醐味ではないでしょうか」(小川)。時代の先をゆく価値を提供するために。ルミネはこれからも進化を続けていく。

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